オミクロン優勢期のCOVID-19ワクチン接種による後遺症のリスク減少

  • Huh, K., Kim, Y.-E., Bae, G. H., Moon, J. Y., Kang, J.-M., Lee, J., Bae, J.-W., Peck, K. R., & Jung, J. (2024). Vaccination and the risk of post-acute sequelae after COVID-19 in the Omicron-predominant period. Clinical Microbiology and Infection, 30(5), 666–673. https://doi.org/10.1016/j.cmi.2024.01.028

この研究は、韓国の全国医療保険請求データ、COVID-19患者レジストリ、およびワクチン接種記録を組み合わせたデータベースを用いて、COVID-19ワクチン接種と後遺症リスクの関係を調べたものである。

研究方法

  • 2022年1月〜3月(オミクロン株優勢期)にCOVID-19と診断された人を対象とし、感染後30〜120日間追跡調査を実施した。
  • 調査対象は、ワクチン未接種者(394,773人)とワクチン2回目以上接種者(7,604,081人)である。
  • 主要評価項目は、ワクチン接種(2回目以上)が以下の疾患の発症リスクに与える影響である。
    • 心臓虚血性疾患
    • 心不全
    • 不整脈
    • 心停止
    • 肺塞栓症
    • 静脈血栓塞栓症
    • 急性腎不全
    • 新規透析導入
    • 慢性閉塞性肺疾患
    • 急性膵炎
    • 糖尿病

結果

ワクチン接種(2回目以上)は、以下の疾患の発症リスク低下と関連していた。

  • 心臓虚血性疾患(調整ハザード比 0.73; 95% CI 0.57-0.94)
  • 心不全(0.55; 0.48-0.63)
  • 不整脈(0.72; 0.61-0.85)
  • 心停止(0.41; 0.33-0.51)
  • 肺塞栓症(0.66; 0.52-0.84)
  • 静脈血栓塞栓症(0.54; 0.44-0.66)
  • 急性腎不全(0.56; 0.46-0.67)
  • 新規透析導入(0.45; 0.34-0.59)
  • 慢性閉塞性肺疾患(0.74; 0.65-0.84)
  • 急性膵炎(0.64; 0.51-0.80)
  • 糖尿病(0.82; 0.71-0.95)

さらに、3回目接種者では、2回目接種者と比較して、心不全、不整脈、心停止、肺塞栓症、新規透析導入のリスクがより低かった。

考察

今回の研究結果は、COVID-19ワクチン接種が後遺症のリスク低下と関連していることを示唆しており、COVID-19による間接的な健康被害を軽減する可能性がある。