査読前論文。
- Zeng, J., Szanyi, J. and Blakely, T. (2022) “Effectiveness of fourth dose COVID-19 vaccine against the Omicron variant compared to no vaccination”. medRxiv. doi: 10.1101/2022.08.17.22278807. https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.08.17.22278807v1
60歳以上を対象とした臨床試験において、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)を用いた最新の4回目ワクチン接種後のオミクロンに対するRevative VE(rVE)が、約4ヶ月前の3回目ワクチン接種と比較して報告されている。興味深いことに、4回目の接種のVEを接種しない場合と比較して報告した研究は1件のみで、本研究の著者らはこれをabsolute VE(aVE)と称している。しかし、同じ期間の3回目と4回目の投与によるaVEは得られていない。
研究内容について
今回の研究では、SARS–CoV-2ワクチンシリーズの3回接種と4回接種のaVEを、接種後の同じ時点で求めた。彼らは、ロジスティック回帰式のセットを利用した臨床転帰を考慮し、オミクロンに向けたワクチン接種を受けない場合と比較して、COVID-19 mRNAワクチンの3回目と4回目の接種のaVEを算出し、イスラエルの調査で説明された3回目の接種と比較して4回目の接種のVE推定を行った。
著者らは、英国健康安全局(UKHSA)の情報をもとに、オミクロンに伴う症候性感染や入院に対して、初回コースにかかわらずCOVID-19 mRNAワクチン3回目の投与について、時間的な衰えを含めたVEを予測するロジスティック回帰式を先に発表している。さらに、SARS–CoV-2 Delta変異体に対する年齢ごとのVEを報告した研究を用いて、VEの年齢変動を考慮した式に拡張した。
さらに、UKHSAから提供された情報を活用して、症候性感染、無症候性感染、死亡という他のアウトカムを含め、年齢、病気の重症度、ワクチン接種後の時間に応じて、Omicron BA.1 variantに対する3度目の接種のVEを推定する一連の方程式を開発した。その後、これらの式をワクチン接種後3週間後の3回目の接種のaVEを推定するために適応させた。著者らは、Magenらの研究で3回目と4回目のワクチン接種の間隔が中央値で20週間と仮定し、Magenらの4回目接種のrVEを接種後3週間の4回目接種のaVE予測値に変換した。
さらに、モンテカルロ・シミュレーションを10,000回繰り返し、期待されるaVE値とその予測不能区間を算出し、観測された4回目の投与のrVEと科学者のロジスティック方程式による3回目の投与のaVEの推定値の不確実性を再現した。
制限事項
この研究のアプローチの限界は次の通りである。
1) 研究者は、イスラエルでの3回目のワクチン接種が英国での接種と同じように効果を減退させるという仮定のもと、UKHSAの情報をイスラエルの情報に外挿した。しかし、同じ時期に3回目と4回目の接種を受けた人を、それぞれ感染や接種歴のない人とマッチングさせて直接比較する実験がないことを考えると、これらの仮説は容認できるように思われる。また、aVEを評価するための代替技術を想定することは困難であった。
2)今回の推定は、オミクロンBA.1亜種に対するVEに基づいている。免疫回避の結果、新しいSARS–CoV-2亜種に対する4回目の投与aVEが減少する可能性がある。しかし、研究者らは、4回目接種後のaVEが回復するか、あるいはわずかに上昇するという予測した傾向は、今後も続くと予想している。
研究結果および結論
研究結果から、COVID-19 mRNAワクチン接種スケジュールの4回目接種後のaVEは高く、3回目接種と同様に、より深刻な臨床転帰と関連することが示唆された。研究チームは、SARS–CoV-2 mRNAワクチンの4回目の投与は、接種後同じ時間枠内で3回目の投与による予防効果を復活させ、あるいは向上させることを発見した。
症状のあるSARS–CoV-2感染およびワクチン接種後同時期のあらゆる感染に対して、不確実性の間隔は一致しているものの、4回目の接種後の推定aVEは3回目の接種後よりも大きいようであった。さらに、著者らは、SARS–CoV-2ワクチン4回目の接種のコストと利点を評価する政策立案者が、今回の推定値に関心を持つだろうと予想している。