- Huang, G. et al. (2023) “The effect of the COVID-19 pandemic on life expectancy in 27 countries”, Scientific Reports, 13(1). doi: 10.1038/s41598-023-35592-9. https://www.nature.com/articles/s41598-023-35592-9
科学報告誌に掲載された最新の研究では、2019年から2020年までの予想される寿命と実際の寿命の変化を比較し、27カ国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による寿命の損失を評価した。
COVID-19パンデミックは最近の大きな公衆衛生危機の一つで、世界全体で約6億のケースと約600万人の死者が発生した。しかし、COVID-19の検査が不十分で多くの死亡が報告されていないため、実際の死亡率は推定されたものよりも高いと考えられている。
生命予期は年齢構造や人口規模に影響されず、年齢調整が行われているため、多くの研究で2019年と2020年の生命予期を比較し、COVID-19の死亡率への影響を推定している。しかしこの方法では、一年を通じての死亡率の変動や、COVID-19の生命予期への影響の正確な推定を得るために必要な年間死亡率の変動を考慮していない。
今回の研究では、研究者たちは、死亡率の変化に対する深刻で予期しない事象の影響を考慮しつつ、COVID-19による寿命の損失を評価するための改良された方法を使用した。この方法では、1990年以降(チリは1992年以降)の死亡データを用いて2020年の寿命予想軌道を描き出した。
結果として、COVID-19がなければ、27カ国中21カ国で2020年の寿命予期が増加したと指摘されている。2019年と2020年の死亡率の予想変化に基づいて、27カ国におけるCOVID-19による寿命の損失は、15歳で1.33年、65歳で0.91年と推定された。
これらの結果は、年間を通じた固有の変動を考慮した上で、COVID-19の死亡への影響は以前に推定されていたよりも強力で、特に最近寿命が増加していた国々にとってはそうであった
ことを示している。本研究で推定された27カ国の寿命損失は、年間を通じた固有の変動を考慮していなかった以前の研究が報告したものよりも高かった。
総じて、2019年と2020年の実際の生命と予想寿命の変化の比較に基づき、COVID-19の死亡への影響の包括的な評価から得られた結果は、COVID-19による2020年の寿命の損失は、高所得国でさえ、以前の研究で推定されていたものよりも深刻であったことを示唆している。