オミクロン株に感染回復後も神経損傷のマーカーが増加

  • Plantone, D., Stufano, A., Righi, D., Locci, S., Iavicoli, I., Lovreglio, P., & De Stefano, N. (2024). Neurofilament light chain and glial fibrillary acid protein levels are elevated in post-mild COVID-19 or asymptomatic SARS-CoV-2 cases. Scientific Reports, 14(1), 6429. https://doi.org/10.1038/s41598-024-57093-z

COVID-19の大流行が大きな影響を与えたことを考えると、COVID-19の終息後に復職した人々の認知機能への影響を評価することが最も重要であると思われる。ニューロフィラメント軽鎖(sNfL)とグリア線維性酸性蛋白(sGFAP)の血清レベルは、神経軸索損傷とアストロサイト活性化の有望なバイオマーカーである。このコホート研究では、無症候性SARS-CoV-2感染または軽症のCOVID-19に罹患したことのある成人労働者147人を対象に、SARS-Cov2陰性化から1週間後および10ヵ月後のsNfLおよびsGFAP濃度と認知能力との関連を検討し、年齢とBMIをマッチさせた82人の健常対照群(HC)と比較した。sNfLおよびsGFAP濃度は、SimoaTM assay Neurology 2-Plex B Kitを用いて評価した。COVID-19患者は訓練を受けた医師によって1対1で面接され、認知機能障害質問票(CFQ)を含む質問票リストに記入しなければならなかった。最初の評価(T0)では、sNfLとsGFAPの値はCOVID-19患者でHCより有意に高かった(いずれもp<0.001)。認知障害を有する11人のCOVID-19患者では、sNfLとsGFAPのレベルが他の患者よりも有意に高かった(いずれもp = 0.005)。その後の追跡調査(T1)では、sNfLとsGFAPの値は有意な減少を示したが(sNfL中央値18.3 pg/mL、sGFAP中央値77.2 pg/mL)、HC(sNfL中央値7.2 pg/mL、sGFAP中央値63.5 pg/mL)よりはまだ高かった。この結果は、SARS-Cov2陰性化後、神経細胞とアストロサイトに進行中の障害があることを示唆している。