日本におけるCOVID-19の発生率と2023年秋のCOVID-19ワクチンの潜在的影響予測

  • Kohli, M., Maschio, M., Lee, A., & Igarashi, A. (2024). Projections of the incidence of COVID-19 in Japan and the potential impact of a Fall 2023 COVID-19 vaccine. Vaccine, S0264410X24001178. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2024.01.093

研究の背景
本研究の目的は、2023年9月から2024年8月までの日本におけるCOVID-19感染、入院、死亡の発生率、および18歳以上の成人に対する2023年秋のCOVID-19ワクチン(XBB.1.5 variant modified version: XBB monovalent)がこれらの転帰に及ぼす潜在的影響を推定することである。

方法
米国で開発されたSusceptible-Exposed-Infected-Recoveredモデルを日本に適応した。症候性感染、COVID-19に関連した入院、死亡の数を算出した。米国と日本ではワクチン接種率、マスク習慣、社会的混合パターンが異なるため、すべての入力を日本の状況を反映するように更新した。ワクチン効果(VE)値は仮定の値であるが、VERSUS試験陰性症例対照研究から、日本におけるBA.4/BA.5に対する2価のBA.4/BA.5ブースターの既存のVE値に基づいて予測した。感度分析も行った。

結果
ベースケースモデルでは、2023年9月から2024年8月までの間に、日本で症候性COVID-19感染が約3,520万件、入院が69万件、死亡が6万2,000件発生すると予測した。2023年秋に18歳以上の成人全員に最新のCOVID-19ワクチンを接種した場合、730万人の感染、27万5千人の入院、2万6千人の死亡が予防されると予測。65歳以上の高齢者のみにワクチンを接種した場合、予防できるのは感染290万件、入院18万件、死亡1万9,000件のみである。感度分析の結果、予防される入院と死亡は、感染と入院に対する最初のVE、および感染に対するVEに関連する減少率に最も敏感であることが示唆された。予防された症候性感染症は、感染に対する初期VEおよびVEの減衰に対する感度が最も高かった。

結論
2023年秋のCOVID-19ワクチンは、COVID-19関連感染、入院、死亡の総数を減少させることが示唆された。