Long Covidへの低用量ナルトレキソンの安全性と有効性

  • O’Kelly, B., Vidal, L., McHugh, T., Woo, J., Avramovic, G., & Lambert, J. S. (2022). Safety and efficacy of low dose naltrexone in a long covid cohort; an interventional pre-post study. Brain, Behavior, & Immunity – Health, 24, 100485. https://doi.org/10.1016/j.bbih.2022.100485

背景

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 感染後12週間以上経過しても症状が残る患者は最大37.7%に上る。現在までのところ、Long Covid患者に対する治療は、多職種リハビリテーション、セルフケア、活動制限を中心としている。しかし、効果が認められた薬物治療法はまだない。

方法

本研究は単施設介入前向き前向き比較試験であり、Long Covid患者 (NICE基準で、SARS-CoV-2 感染後12週目以降に症状が持続しており、他の原因による症状ではないと判断される症例) を対象に、低用量ナルトレキソン (LDN) の安全性を検討した。Long Covid外来を通して患者を募集し、シメトリカル・ライカート式 (同意・不同意の中間を含む) の生活の質に関する質問票をベースラインとして測定した後、2ヶ月間の LDN 投与 (1ヶ月目1mg、2ヶ月目2mg) を行い、2ヶ月終了後に再度同じ質問票を測定した。また、副作用の有無についてもモニタリングを行った。

結果

計52名が参加し、うち40名 (76.9%) が女性であった。中央年齢は43.5歳 (IQR: 33.2-49.0歳) で、職種としては医療従事者が最多 (n=16, 34.8%) であった。COVID-19診断から登録までの中央値は333日 (IQR: 171-396.5日) であった。38名 (73.1%) が LDN 服用を開始し、そのうち2名 (5.3%) は、下痢の新規発と疲労を理由に服用を中止した。最終的に質問票の2ヶ月後測定を完了したのは36名 (69.2%) であった。測定された7項目のうち、COVID-19からの回復、日常生活動作制限、エネルギーレベル、疼痛レベル、集中力レベル、睡眠障害の6項目において改善がみられ (p ≤ 0.001)、気分の改善も傾向として認められたが、統計学的有意差はなかった (p = 0.054)。

結論

Long Covid患者における LDN は安全であり、患者の生活の質向上と症状軽減に効果がある可能性が示唆された。この知見を裏付けるため、ランダム化比較試験が必要である。