Exploring COVID-19 conspiracy theories: education, religiosity, trust in scientists, and political orientation in 26 European countries – Scientific Reports
Scientific Reports – Exploring COVID-19 conspiracy theories: education, religiosity, trust in scientists, and political orientation in 26 European countries
- Jabkowski, P., Domaradzki, J., & Baranowski, M. (2023). Exploring COVID-19 conspiracy theories: Education, religiosity, trust in scientists, and political orientation in 26 European countries. Scientific Reports, 13(1), 18116. https://doi.org/10.1038/s41598-023-44752-w
世界的に猛威を振るった新型コロナウイルスは、パンデミックを引き起こすと同時に、デマや誤情報、そして陰謀論(CT)が大量に広まった。数々の研究で、陰謀論を信じやすい要因が明らかになってきているが、中でもっとも大きな影響を及ぼすのは、個人の教育水準であると考えられている。
本研究は、26カ国を対象に、教育水準が新型コロナウイルス関連の陰謀論を信じる度合いに与える影響について、さらにその影響を左右する要素を調べた。具体的には、個人の宗教性、科学者への信頼度、政治的立場が、教育水準と陰謀論の信奉度との関係にどのような調整効果をもたらすのかを明らかにしようとした。
分析には、2020年9月から2022年9月にかけて実施された最新の欧州社会調査(ESS10)のデータを用いた。その結果、宗教的な人は教育水準が陰謀論への信奉度に与える影響が弱まり、逆に科学者への信頼度が高い人は教育水準の影響が強まることがわかった。政治的立場の影響は単純なものではなく、さらなる検討が必要だ。
また、調査対象国全体のデータを見ると、陰謀論を支持する回答者が多い国ほど、ワクチン接種率が低く、超過死亡者数が多いという傾向が見られた。
以上の結果から、公衆衛生戦略やキャンペーンを策定する際、単に個人の教育水準だけに基づいて計画しても不十分であることが示唆される。なぜなら、教育水準が陰謀論への信奉度に与える影響は、個人の持つさまざまな信念によって調整されてしまうからだ。