二酸化炭素濃度とSARS-CoV-2の好気性および感染リスクとの相関性

  • Haddrell, A., Oswin, H., Otero-Fernandez, M., Robinson, J. F., Cogan, T., Alexander, R., Mann, J. F. S., Hill, D., Finn, A., Davidson, A. D., & Reid, J. P. (2024). Ambient carbon dioxide concentration correlates with SARS-CoV-2 aerostability and infection risk. Nature Communications, 15(1), 3487. https://doi.org/10.1038/s41467-024-47777-5

イギリスの研究で、空気中の二酸化炭素濃度と新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) の浮遊性と感染リスクの関係が調べられた。

研究では、まず、呼吸による飛沫中のアルカリ度 (pH) が、新型コロナウイルスの感染力を下げる要因の一つであることが確認された。これは、飛沫が吐き出された後に二酸化炭素が空気中に拡散することで、飛沫中のアルカリ度が下がるためだ。

次に、研究者たちは、空気中の二酸化炭素濃度を上げた場合、新型コロナウイルスがより長く浮遊している状態を維持できることを発見した。この効果は、湿度を変化させた場合よりも大きかった。

さらに、空気中の二酸化炭素濃度と新型コロナウイルスの感染リスクをモデル化し、二酸化炭素濃度が少し上昇するだけでも、全体的な感染リスクが大幅に上昇することが示された。

この研究結果は、換気を行い、屋内の二酸化炭素濃度を低く保つことで、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことの重要性を裏付けるものだ。また、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が進むにつれて、今回発見されたようなウイルスの浮遊性との関連性について、さらに研究を進める必要があることも示唆している。