メラトニン製剤(アゴメラチン、ラメルテオン)はSARS-CoV-2の脳への侵入とウイルスによる脳小血管の損傷を抑制する

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  • Cecon, E., Fernandois, D., Renault, N., Coelho, C. F. F., Wenzel, J., Bedart, C., Izabelle, C., Gallet, S., Le Poder, S., Klonjkowski, B., Schwaninger, M., Prevot, V., Dam, J., & Jockers, R. (2022). Melatonin drugs inhibit SARSCoV-2 entry into the brain and virus-induced damage of cerebral small vessels. Cellular and Molecular Life Sciences: CMLS, 79(7), 361. https://doi.org/10.1007/s00018-022-04390-3

概要
COVID-19は、SARSCoV-2の感染を契機として、短期および長期の呼吸器症状、炎症症状、神経症状を伴う複合疾患である。SARSCoV-2による脳への浸潤がヒトで観察されており、COVID後の状態に関与していると推測されている。特にCOVID-19のK18-hACE2マウスモデルでは、脳への感染が顕著である。従って、急性期の脳内感染を防ぐことは、COVID-19の長期にわたる症状を防ぐために、治療上重要な意味を持つ可能性がある。我々は以前に、メラトニンまたは2つの所定の構造類似体であるアゴメラチンおよびラメルテオンが、SARSCoV-2感染K18-hACE2マウスの重度の臨床症状の発症を遅らせ、生存率を改善することを明らかにした。ここでは、K18-hACE2マウスにメラトニン、およびメラトニン由来の市販薬であるアゴメラチン、ラメルテオンを投与することにより、脳へのSARSCoV-2の侵入を防ぎ、ウイルスによる小脳血管の障害、免疫細胞の侵入、脳の炎症が抑制されることを明らかにしました。分子モデリング解析と細胞実験により、メラトニンがヒトのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)のアロステリック結合部位に結合し、ACE2のSARSCoV-2侵入受容体としての機能を阻害することにより、内皮細胞へのSARSCoV-2の侵入が阻止されることが示された。今回の発見は、SARSCoV-2による脳感染およびCOVID-19に関連する長期的な神経症状の予防に、メラトニン作動薬およびその臨床用アナログを再利用するための新しい展望を拓くものである。