- Pak, T. et al. (2023) “Discontinuation of Universal Admission Testing for SARS–CoV-2 and Hospital-Onset COVID-19 Infections in England and Scotland”, JAMA Internal Medicine. doi: 10.1001/jamainternmed.2023.1261. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2805585
イギリスのイングランドとスコットランドでは、2022年8月31日と9月28日からそれぞれ、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS–CoV-2)感染のための全面的な入院テストが中止された。
最近のJAMA内科学誌に掲載された研究レターでは、両国の公開データセットを使用した時間系列分析が行われ、このテスト中止が病院発生型のコロナウイルス病2019(COVID-19)ケースの急増をもたらしたかどうかを調査した。
背景として、COVID-19の初期段階では、無症状または前症状の人々が全SARS–CoV-2感染症の約三分の二を広めていた。そのため、全面的な受診テストが有益であったかどうかについては疑問が投げかけられていた。
本研究では、2021年7月1日から2022年12月16日までの新たな病院発生型COVID-19ケースの週次カウントについて、スコットランド公衆衛生およびイングランド国民保健サービスのデータが使用された。
研究期間は、2021年7月1日から2021年12月13日までのデルタ株優位期、それから2022年8月30日または9月27日(イングランドとスコットランドでそれぞれ)から2022年12月16日までのオミクロン株優位期、そして両国ともに全面的な入院テストが行われなかった期間までをカバーしている。
結果として、イングランドとスコットランドでの全面的な入院テストの中止は、コミュニティ発生感染に比べて病院発生型COVID-19ケースを顕著に増加させた。認識されない入院ケースのSARS–CoV-2感染が他の患者や医療従事者に感染を広げ、感染者の連鎖を形成した。
スコットランドでは、デルタ株優位期からオミクロン株優位期にかけて、1000人あたりの新規病院発生型COVID-19ケースの平均週間発生率が0.78から0.99に上昇し、全面的な入院テストが停止した後は1.64にさらに上昇した。イングランドでも同様に、この発生率が0.64から1へ、そして1.39へと上昇した。
結論として、研究結果は、研究期間中に院内でのSARS–CoV-2オミクロン株の感染が一般的であり、粗死亡率が3%から13%の範囲で発生したことを示している。したがって、病院は入院時のSARS–CoV-2感染の全面的なテストを中止することの結果を慎重に考慮するべきだ。