現在開発中のCOVID-19経鼻ワクチンの大半は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンと同様に、無害なウイルスの「殻」を使ってウイルス抗原を送り込む、いわゆるウイルスベクターワクチンである。一つは、アジュバントなしで免疫反応を活性化するように設計されたCOVID-19スパイクタンパク質を使うもので、もう一つは、Saltzman が遺伝子治療の方法として10年近く研究してきた特殊ポリマーにカプセル化されたメッセンジャーRNAを使うものである。1月に発表されたプレプリントスタディでは、両方のワクチンをマウスに投与すると、呼吸器粘液組織で新しい免疫記憶が活性化され、全身性の免疫も増強されることが実証された。次は、ヒト以外の霊長類、そしてヒトでの研究の承認を得ることである。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2022.01.24.477597v1.full.pdf
薬物の放出制御を行う同様のポリマー送達システムが10年以上も前にFDAによって承認されていることは心強いことであり、mRNAワクチンへの利用は論理的な次のステップである、とSaltzmanは言う。「これらのポリマーナノ粒子を作ることは、ファイザー社やモデルナ社がCOVIDワクチンで使用している脂質ナノ粒子を作ることとそれほど変わらない」と彼は言う。「彼らはスケールアップに成功しており、その専門知識を製造に生かすことができると思う。規制当局が現在持っているmRNAワクチンの経験は、FDAの承認プロセスの迅速化にも役立つ可能性がある。私たちの計画は、筋肉注射用ワクチンで使われたような経路を辿って、迅速に進めることである」とSaltzmanは言います。