- Vu QM. 2024. Estimates of Incidence and Predictors of Fatiguing Illness after SARS-CoV-2 Infection. Emerging Infectious Diseases, DOI: 10.3201/eid3003.231194, https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/30/3/23-1194_article
この記事は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染後の疲労発症率とその予測因子に関する研究について述べている。この研究は、米国疾病予防管理センター(CDC)とワシントン大学の科学者によって行われ、「Emerging Infectious Diseases」誌に掲載された。
COVID-19は、SARS-CoV-2によって引き起こされる多因子性の疾患であり、軽度から重度の呼吸器、心血管、消化器、神経心理学的症状を特徴とする。また、長期的な影響も報告されている。2023年1月のCDCの調査では、アメリカ成人の最大15%が長期COVIDの症状を経験しており、疲労は最も一般的な症状である。
この研究では、COVID-19に罹患した患者と罹患していない対照群を比較し、COVID-19による追加的な疲労の発生率を推定した。結果として、COVID-19患者の約9.5%が研究追跡期間中に疲労を発症し、その発生率は10.2/100人年であった。また、疲労の発生率は年齢が進むにつれて高まり、女性の方が男性よりも高いことが分かった。
対照群では、疲労の発生率は6.0/100人年と推定され、COVID-19患者が対照群に比べて疲労を発症するリスクが68%高いことが示された。慢性疲労の発生率に関しても、COVID-19患者が非COVID-19患者よりも高いリスクがあった。
疲労の発生に関連する要因として、女性が男性よりも39%疲労を発症する可能性が高く、加齢や既存の疾患がある患者も高リスクであることが分かった。また、疲労を発症したCOVID-19患者は、発症しない患者よりも入院率や死亡リスクが高いことが示されている。
この研究は、COVID-19が疲労のリスクを高め、疲労を発症した患者がより深刻な臨床結果を示すことを明らかにし、COVID-19後の疲労に対する公衆衛生上の対策と効果的な治療法の必要性を強調している。