COVID-19では海馬が傷害を受けやすいため、感染後の記憶喪失やアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症を早める可能性があるというデータが増えてきている。これは、海馬が空間記憶やエピソード記憶、学習などにおいて重要な機能を有していることに起因している。COVID-19は海馬のミクログリアを活性化し、中枢神経系サイトカインの嵐を引き起こし、海馬の神経新生を喪失させる。COVID-19患者の海馬における機能的・構造的な変化は、ヒトの海馬における神経細胞変性と神経新生の減少を説明できる。このことは、結果として生じる海馬神経新生の喪失を通じて、「コロナ後遺症」における記憶および認知機能障害を説明する窓を開くことになる。