COVID-19後に新たに発症した自己免疫疾患

  • Hileman, C. O., Malakooti, S. K., Patil, N., Singer, N. G., & McComsey, G. A. (2024). New-onset autoimmune disease after COVID-19. Frontiers in Immunology, 15, 1337406. https://doi.org/10.3389/fimmu.2024.1337406

はじめに 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)は、最初の自然免疫活性化によって自己免疫疾患(AD)を誘発し、その後の適応免疫細胞の異常によってADを引き起こす可能性がある。COVID-19後にADが発症したという報告は複数あるが、主要な循環株におけるリスクは不明である。

方法 2020年1月1日から2023年3月3日までの成人コホートを定義するために、74の医療機関の電子カルテへのアクセスを提供するグローバルな連合型健康研究ネットワークであるTriNetXを利用した。曝露はCOVID-19診断(ICD-10コードまたは臨床検査陽性)と定義した。年齢と性別の傾向スコアをマッチさせた対照群はCOVID-19と診断されることはなかった。転帰は指標日の1ヵ月後から1年後に評価された。発症前または発症後1ヵ月以内にADを発症した患者は一次解析から除外した。各ADの発生率とリスク比が評価された。

結果 合計3,908,592人の患者が対象となった。評価された24例のAD患者のうち、COVID-19を有していた8例のAD患者の調整リスク比は、COVID-19を有していなかった患者と比較して高かった。皮膚血管炎(調整ハザード比(aHR):1.82;95%CI 1.55-2.13)、結節性多発動脈炎(aHR:1.76;95%CI 1.15-2.70)、過敏性血管炎(aHR:1.64;95%CI 1.12-2.38)のリスク比が最も高かった。全体として、乾癬(0.15%)、関節リウマチ(0.14%)、1型糖尿病(0.13%)が試験期間中の発症率が最も高く、このうち乾癬と糖尿病はCOVID-19後に発症する可能性が高かった。COVID-19の診断がオミクロン変異型が優勢な循環株であった場合、ADのリスクは低かった。抗核抗体陽性はCOVID-19後のADの可能性が高く、予測的であった。

考察 SARS-CoV-2はADの引き金となる可能性があるが、オミクロン亜型に感染した後のリスクが明らかに低いことから、ADのリスクは時間とともに低下する可能性がある。

図1 COVID-19診断後1年以内の自己免疫疾患の調整リスク比とCOVID-19診断なしとの比較。

Hileman CO, Malakooti SK, Patil N, Singer NG and McComsey GA (2024) New-onset autoimmune disease after COVID-19. Front. Immunol. 15:1337406

表2 全体およびCOVID-19曝露群別の自己免疫疾患の発生率。

図2(A)オミクロンとデルタ変異体以前の時間枠におけるCOVID-19後の自己免疫疾患の調整リスク比。(B)オミクロン変異体vsデルタ変異体におけるCOVID-19後の自己免疫疾患の調整リスク比。