- Moghadasi, S. A., Heilmann, E., Khalil, A. M., Nnabuife, C., Kearns, F. L., Ye, C., Moraes, S. N., Costacurta, F., Esler, M. A., Aihara, H., Von Laer, D., Martinez-Sobrido, L., Palzkill, T., Amaro, R. E., & Harris, R. S. (2023). Transmissible SARS–CoV-2 variants with resistance to clinical protease inhibitors. Science Advances, 9(13), eade8778. https://doi.org/10.1126/sciadv.ade8778
臨床用プロテアーゼ阻害剤に耐性を持つ感染性SARS–CoV-2亜種
概要
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS–CoV-2)は、ワクチンや薬剤によって重症度が低下し、感染拡大が抑制された。しかし、ウイルスの継続的な伝播、継続的な進化、および選択圧の増大により、これらの介入に抵抗するウイルス変種が生まれる可能性がある。我々は、SARS–CoV-2の主要なプロテアーゼ(Mpro; 3C様プロテアーゼ(3CLpro))の天然変異体について、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性を調査した。Mproの複数の単一アミノ酸の変化により、nirmatrelvir(パキロビッドの活性成分)に対する耐性が付与された。さらに臨床段階にある阻害剤であるensitrelvir(Xocova)は、異なる耐性変異プロファイルを示している。重要なことは、系統学的解析により、これらの耐性変異体のいくつかは、これらの薬剤がヒト集団に導入される以前から存在し、拡散する可能性があることが示されたことである。これらの結果は、耐性変異体のモニタリングと、コンビナトリアル治療のための作用機序と耐性プロファイルの異なる追加のプロテアーゼ阻害剤および他の抗ウイルス剤の開発を促すものである。