最新の研究によれば、新型コロナウイルス(SARS–CoV-2)のOmicron変異体XBB.1.5は、二価型mRNAワクチンのブースターが引き出す中和反応を大幅に逃れることが示された。
XBBは二つのBA.2亜系統から派生した混合系統で、XBB.1亜系統はG252V置換を持ち、XBB.1.5はG252VとF486P置換を持つ。XBB.1.5変異体の頻度が急速に増加し、New England地域で主要な変異体となった。
この研究では、二価型mRNAワクチンでブースター接種を受けた個体の免疫反応を評価した。対象者は、過去にSARS–CoV-2感染歴がある、抗核蛋白抗体陽性である、免疫抑制剤を使用している場合は除外された。
ブースター接種前、接種後3週間、3ヶ月で試験が行われた。ブースター接種前の中和抗体(nAb)価は、WA1株、BA.5、XBB.1、XBB.1.5に対してそれぞれ5015、104、49、74だったが、ブースター接種後3週間で、それぞれ25,954、2285、128、137に増加した。
しかし、Omicron XBB.1.5変異体は、二価型mRNAブースター接種後、中和抗体(nAb)による反応を大幅に逃れる一方で、T細胞反応は逃れられなかった。特に注目すべきは、XBB亜系統に対するnAb価がブースター接種後3ヶ月で元の水準(ブースター接種前)に戻ったことである。この中和抗体の低反応と急速な衰退は、二価型ワクチンの有効性を低下させる可能性があるが、それでもなお、ブースター接種前のT細胞反応が重症COVID-19に対する保護に寄与する可能性がある。