COVID-19後の十分な休息が、Long COVIDを防ぐ

運動好きな女性など、回復を急ぎすぎて活動してしまうと、かえって症状が悪化することがある

COVID-19後に倦怠感などの症状が長引く「ロングCOVID」を防ぐためには、十分な休息が大切である。

ランニングが趣味だった26歳のフリーランスジャーナリスト、エマ・ジマーマンさんは、COVID-19感染後に軽い倦怠感を感じながらも、1週間後にジョギングを再開しようと試みた。しかし、毎回のようにひどい疲労感に襲われ、数日間寝込んでしまうことになった。

数ヶ月後も、ジマーマンさんは倦怠感、頭痛、脳霧、吐き気、しびれ、画面への過敏性など、様々な症状に悩まされ続けた。医師の診断により、彼女はロングCOVIDと診断された。

ジマーマンさんのように、感染後に回復を急ぎ、運動を再開したことで、ロングCOVIDを発症または悪化させてしまうケースは少なくない。

無理せず休息することが重要

ワシントン大学でCOVID-19リハビリテーションの専門医を務めるジャナ・フリードリー医師は、「ロングCOVIDを発症しないためには、SARS-CoV-2に感染しないことが最善です。しかし、感染してしまった場合は、体と免疫システムが急性感染と戦うために、休息することが非常に重要です。」と述べている。

フリードリー医師は、ロングCOVIDの予防を確実にする方法はまだ解明されていないものの、多くのロングCOVID患者が、回復初期に無理をして活動してしまった女性であることを指摘している。

ロングCOVIDの症状管理にも休息が有効

すでにロングCOVIDを発症している場合でも、休息は症状管理に有効である。倦怠感や労作性倦怠感(PEM)などの症状を悪化させないために、活動と休息のバランスを意識することが重要だ。

米疾病予防管理センター(CDC)は、活動と休息を交互に行う「ペースニング」という方法を推奨している。

ME/CFSとの類似点

ロングCOVIDの症状は、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (ME/CFS)」と類似している。ME/CFSの患者も、倦怠感やPEMなどの症状を経験する。近年、多くのロングCOVID患者がME/CFSの診断基準を満たしていることが明らかになっている。

ME/CFSの治療においても、休息とペースニングが重要である。かつては運動療法が主流だったが、かえって症状が悪化するケースがあるとして、現在は推奨されていない。

休息の課題と工夫

COVID-19陽性者にとって、数日間休むことすら難しい場合がある。経済的な理由や、育児などの責任があるためだ。

ロングCOVIDやME/CFS患者は、職場の配慮や、周囲の助けを活用することが重要である。また、日常生活の中で少しでもエネルギーを使わない工夫をすることも大切だ。

フリードリー医師は、自身がロングCOVIDを発症していた当時、同じ靴下を複数双用意することで、靴下選びの時間を節約していたという。

「些細なことのようですが、1日の積み重ねで、エネルギーを節約する大きな違いになります。」とフリードリー医師は述べている。

まとめ

COVID-19後に十分な休息をとることは、ロングCOVIDの予防と症状管理に重要である。無理せず、自身のペースで活動することが大切だ。