大阪における第6波の直接死亡、間接死亡、関連死亡の合計数は、それぞれ1,071人、948人、2,157人

  • Zhang, T., Qiao, J., Hayashi, K., & Nishiura, H. (2024). Decomposing mechanisms of COVID-19 mortality in empirical datasets: A modeling study. Journal of Theoretical Biology, 584, 111771. https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2024.111771

COVID-19死亡メカニズムの分解 – 実証的データセットを用いたモデリング研究

本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) パンデミックにおける死亡メカニズムを分解し、COVID-19による直接死亡、間接死亡、関連死亡を推定することである。COVID-19の確定診断がある場合、必ずしも呼吸器合併症が原因ではなく、他の合併症に起因する死亡は、COVID-19による間接死亡に分類される。関連死亡は、COVID-19患者ではないが、COVID-19症例の急増により医療システムに過剰な負担がかかった時期に死亡した症例である。

2022年1月~5月のオミクロン B.1.1.529 亜種による第6波 (パンデミック最初の流行波) を分析し、2種類のデータ (COVID-19死亡診断書と主要死因別の超過死亡データ) に適合させた二項分布とポアソンサンプリング過程モデルを用いて分解を行った。大阪における第6波の直接死亡、間接死亡、関連死亡の合計数は、それぞれ1,071人、948人、2,157人と推定された。関連死亡数は、直接死亡と間接死亡の合計よりも多かった。さらに、間接死亡と関連死亡の構成は主要死因別に異なり、循環器疾患による死亡は、他の死因と比較して間接死亡の割合が高かった。

今後パンデミックへの対応を改善していくためには、超過死亡を引き起こすメカニズムを深く理解することが不可欠である。エンデミック化したCOVID-19に対する医療サービスの目標は、予防可能な死亡を回避するための持続的なサービス提供である。