保育園における空気清浄機の設置によって53%~60%の感染制御効果

  • Vartiainen, V. A., Hela, J., Luoto, A., Nikuri, P., Sanmark, E., Taipale, A., Ehder-Gahm, I., Lastovets, N., Sormunen, P., Kulmala, I., & Säämänen, A. (2024). The effect of room air cleaners on infection control in day care centres. Indoor Environments, 1(1), 100007. https://doi.org/10.1016/j.indenv.2024.100007

本研究の目的は、単純で堅牢な計算モデルを用いて、保育所における空気清浄が呼吸器感染症のリスク低減にどの程度効果があるのかを評価することであった。また、屋内環境における潜在的な感染ホットスポットを特定し、それに応じた対策を講じることも目的とした。介入型臨床研究の初期結果を、モデルの概念実証として示す。

我々は、保育所における空気感染伝染のリスクにさらされる人数を評価するための数学モデルを作成した。このモデルを用いて、2つの保育施設 (AユニットとBユニット、研究参加児数は43名) において空気清浄機を導入し、2施設間の感染発生率を、ヘルシンキ市内の他の施設 (607施設) と比較した。介入施設には機械式の給排気換気システムが備わっていた。

リスクモデリングの結果、空気清浄機の使用は、感染伝染リスクにさらされる人数を大幅に減少させることが示唆された。保育所Aでは平均60% (52%~88%の範囲)、保育所Bでは平均53% (14%~59%の範囲) の減少が見られた。

約6ヶ月の研究期間中、感染による欠席日数において介入施設と比較施設で有意な差が認められた。研究期間中、子供の病気による保護者の欠勤日数は、比較施設では平均5.53日、介入施設では平均3.77日であった (p=0.009)。相対的には、約32%の減少である。

本研究は、感染症リスク管理が必要な時期には、保育所における非感染性空気流量を増やすことの説得力のある根拠を提供している。これは、携帯型空気清浄機を用いることで、子供間の呼吸器感染症の拡大を抑制するための効果的で費用対効果の高い戦略として導入することができる。臨床結果は、理論モデルで示唆された知見を裏付けるものである。