新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) の変異が進むにつれ、mRNAワクチン由来の液性免疫をすり抜ける能力を獲得

  • Roederer, A. L., Cao, Y., St. Denis, K., Sheehan, M. L., Li, C. J., Lam, E. C., Gregory, D. J., Poznansky, M. C., Iafrate, A. J., Canaday, D. H., Gravenstein, S., Garcia-Beltran, W. F., & Balazs, A. B. (2024). Ongoing evolution of SARS-CoV-2 drives escape from mRNA vaccine-induced humoral immunity. https://doi.org/10.1101/2024.03.05.24303815

2020年からの新型コロナウイルス (COVID-19) パンデミック発生以降、ウイルスゲノム解析により、スパイクタンパク質において48種類の命名された変異株にわたって計131種類の変異が確認されている。我々は、ワクチン接種によって誘導される液性免疫が、SARS-CoV-2 の継続的な進化についていくことができるかどうかを調べるため、2回目から6回目の接種を受けた76名の被験者からの血清サンプルを用いて、パンデミック中に確認された様々な変異株に対する抗体価を評価した。

注目すべきことに、2020年から2022年に出現した多くの個々の変異は、初回ワクチン接種後の血清による抗体価を低下させる (免疫逃避) のに成功していたが、追加接種後の血清ではその回避は少なかった。しかし、ワクチン接種回数に関係なく、新しい変異株に対しては次第に抗体価が低下していくことが観察された。重要な点として、最新の XBB.1.5 ブースター接種は、新しい変異株に対する抗体価を大幅に向上させたが、JN.1 に対しては効果がなかった。

これらの結果は、季節ごとのブースター接種は流行株に対する抗体価を高めるものの、新規変異株は引き続き改良型 mRNA ワクチンの免疫をすり抜ける能力を獲得しており、SARS-CoV-2 の感染拡大を適切にコントロールするためには新たなワクチンの開発が必要であることを示唆している。