COVID-19ウィルスの身体での残存とlong COVIDが関連

  • Zuo, W., He, D., Liang, C., Du, S., Hua, Z., Nie, Q., Zhou, X., Yang, M., Tan, H., Xu, J., Yu, Y., Zhan, Y., Zhang, Y., Gu, X., Zhu, W., Zhang, H., Li, H., Sun, W., Sun, M., … Cao, B. (2024). The persistence of SARS-CoV-2 in tissues and its association with long COVID symptoms: A cross-sectional cohort study in China. The Lancet Infectious Diseases, S1473309924001713. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(24)00171-3

近年、回復したCOVID-19患者にみられるlongCOVIDと呼ばれる症状が、人体における様々な臓器や器官系に影響を及ぼしていることが示唆されているこの症状とウイルスの持続性との関連は明らかではなかった。本研究は、軽症のCOVID-19から回復した人を対象に、回復後3時点での様々な組織におけるSARS-CoV-2の持続性と、長コロナ症状との関連を調べた。

方法

  • 中国・北京にある中国日本友好医院で、オミクロン株流行後の2022年12月から横断研究を実施。
  • PCR検査またはラテラルフロー検査で軽症COVID-19と診断され、感染後1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月目に内視鏡検査、手術、化学療法を予定している患者、または他の理由で入院治療を予定している患者を対象に登録。
  • 感染後約1ヶ月 (18-33日)、2ヶ月 (55-84日)、4ヶ月 (115-134日) に、手術の際に余った組織、胃カメラ検査のサンプル、血液サンプルを採取。
  • デジタルドロプレトPCRでSARS-CoV-2を検出し、RNA in-situ ハイブリダイゼーション、免疫蛍光法、免疫組織化学染色法でさらに確認。
  • 感染後4ヶ月目に電話フォローアップを行い、SARS-CoV-2 RNAの持続性と長コロナ症状との関連を評価。

結果

  • 2023年1月3日から4月28日の間に、225人の患者から317件の組織サンプルを採取 (手術検体201件、胃カメラ検査サンプル59件、血液成分サンプル57件)。
  • 1ヶ月目に採取した53個の固形組織サンプルのうち、16個 (30%) からウイルスRNAが検出された。2ヶ月目には141個中38個 (27%)、4ヶ月目には66個中7個 (11%) から検出された。
  • ウイルスRNAは、肝臓、腎臓、胃、腸、脳、血管、肺、乳房、皮膚、甲状腺など10種類の異なる固形組織で検出された。
  • また、ウイルスRNA陽性だった61個の固形組織サンプルのうち、26個 (43%) からサブゲノムRNAが検出された。
  • 免疫機能が低下している9人の患者では、感染後2ヶ月目に、血漿中から3例 (33%)、顆粒球から1例 (11%)、末梢血単核球から2例 (22%) でウイルスRNAが検出されたが、免疫機能が正常な10人の血液からは検出されなかった。
  • 電話アンケートを完了した213人の患者の中で、72人 (34%) が少なくとも1つの長コロナ症状を報告しており、倦怠感 (21%, 44人中44人) が最も頻度が高かった。
  • 回復した患者におけるウイルスRNAの検出は、長コロナ症状の発症と有意に関連していた (オッズ比5.17、95%信頼区間2.64-10.13、p<0.0001)。 ウイルスコピー数が高い患者ほど、長コロナ症状を発症する可能性が高かった。

考察

本研究の結果は、軽症のCOVID-19から回復した患者の中には、SARS-CoV-2が依然として残存している可能性があり、またウイルス持続性と長コロナ症状との間に有意な関連性が認められることを示唆している。