社会活動は感染件数の40~60%を説明、公共交通機関は感染拡大に大きく寄与

この論文は、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の感染拡大にどの社会活動が最も大きな影響を与えているのかを調べるために状態空間モデルを開発したものである。解析は、報告された入院件数に加え、ワクチン接種情報、気象データ、ウイルス株、そして最も重要な点として、グーグルが提供する4種類の社会活動別の移動履歴データに基づいている。

この新しい手法は汎用性があるものの、本研究ではスウェーデンとノルウェーを75週にわたって地域レベルで、ドイツのベルリンとバイエルンの主要地域を10カ月以上にわたって調査した。

3カ国共通の主な結果は以下の通りである。

  • 4種類の社会活動における活動量は、全体の感染件数の40~60%を説明している。
  • 公共交通機関は、どの国においても感染拡大にとって重要な設定因子であることが示された。
  • ウイルス感染の拡大ピークである冬と比べると、夏場の感染拡大 potential(潜在力)は40~50%低下する。

ただし、ドイツの解析結果は他国と異なっており、感染拡大に最も影響しているのは「小売店や娯楽施設」での活動であるのに対し、ノルウェーとスウェーデンでは「職場」での接触が主な要因となっている。この点からも、我々のモデルは特定の事例に適応できる柔軟性を備えていることが示される。

なお、グーグルのデータで捉えきれない感染経路としては、家庭内での接触などが考えられる。

このモデルは、決定論的な時間と地域ごとの感染率を持ち、4種類のグーグルのデータを足し合わせた成分と、季節変動や流行しているウイルス株を考慮した乗算成分から構成されている。推論は、Stanと呼ばれるソフトウェアを用いたベイズ統計手法で行われている。