34%がlongCOVIDになっており、ウイルスコピー数が多いほどlongCOVIDになる

  • Zuo, W., He, D., Liang, C., Du, S., Hua, Z., Nie, Q., Zhou, X., Yang, M., Tan, H., Xu, J., Yu, Y., Zhan, Y., Zhang, Y., Gu, X., Zhu, W., Zhang, H., Li, H., Sun, W., Sun, M., … Cao, B. (2024). The persistence of SARS-CoV-2 in tissues and its association with long COVID symptoms: A cross-sectional cohort study in China. The Lancet Infectious Diseases, S1473309924001713. https://doi.org/10.1016/S1473-3099(24)00171-3

新型コロナウイルスの長期的な影響に関する中国の研究

この研究は、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) が回復した軽症患者において、ウイルスの残存と、コロナ後遺症 (Long Covid) の症状との関連性を調べたものだ。

中国で行われたこの研究では、軽症の新型コロナウイルス陽性者 (225人) を対象とし、感染から 1, 2, 4 か月後に胃カメラ検査、手術、化学療法などを受ける際に採取された組織サンプルを調べた。

その結果、1 か月後には 53 個の固形組織サンプルのうち 16 個 (30%) で、2 か月後には 141 個中 38 個 (27%) で、4 か月後には 66 個中 7 個 (11%) でウイルス RNA が検出された。検出されたウイルス RNA は、肝臓、腎臓、胃、腸、脳、血管、肺、乳房、皮膚、甲状腺など 10 種類の異なる固形組織に分布していた。

興味深いことに、免疫が低下している患者 (9 人) のうち 2 か月後には、血漿 (33%)、顆粒球 (11%)、末梢血単核球 (22%) からもウイルス RNA が検出されたが、免疫が正常な患者 (10 人) の血液からは検出されなかった。

また、電話による追跡調査では、参加者の 34% (213 人中 72 人) が少なくとも 1 つのコロナ後遺症の症状を報告しており、その中で最も多かったのが倦怠感 (21%, 213 人中 44 人) であった。

さらに重要な点として、回復した患者におけるウイルス RNA の検出は、コロナ後遺症の症状の発症と有意に関連していた (オッズ比 5.17, 95% CI 2.64-10.13, p<0.0001)。ウイルスコピー数が多いほど、コロナ後遺症の症状が出る可能性が高かった。

この研究結果は、軽症の新型コロナウイルスから回復した患者の中には、ウイルスが体内に残存している場合があり、その残存とコロナ後遺症の症状との間に明らかな関連性が認められることを示唆している。 今後の研究では、メカニズムの解明と、コロナ後遺症の症状を改善するための標的を特定することが求められる。