オックスフォード大学の研究者らが昨日Nature誌に発表した新たな知見によると、英国ではCOVID-19感染者の100人に1人から3人が30日以上持続感染しており、持続感染者はlong COVIDを発症する可能性が55%高いとのことである。
COVID-19の研究者にとって、感染症が長引くとウイルスの変異が多く見られる傾向があるため、新たな変異体の貯蔵庫となることが以前から懸念されていた。
以前は、この懸念は免疫不全患者に焦点を当てたものであったが、この新しい研究は、この種の長期感染症が以前考えられていたよりも一般的である可能性を示唆している。
本研究は、Office for National Statistics COVID Infection Survey(ONS-CIS)の一環として、2020年11月から2022年8月までにゲノム配列決定のために2つ以上の陽性ウイルス検体を提供した3,603人の参加者に基づいている。持続感染を定義するための2つの陽性検査は、少なくとも26日の間隔をおいて行われなければならない。
54人が2ヶ月以上陽性
参加者のうち、381人が30日以上同じウイルスで陽性となる持続性感染症であり、54人が2カ月以上持続性感染症であった。
持続感染のうち、アルファ型が11人、デルタ型が106人、BA.1型が97人、BA.2型が167人であった。特筆すべきはBA.1の持続感染で、少なくとも133日間持続し、その間に33のユニークな変異が記録された。
持続感染の約30%において、研究者らは患者サンプルのウイルス動態がリバウンドしていることを指摘した。
「遺伝子情報がない場合、定義によっては再感染と誤認される可能性があります」と著者らは書いている。
Long-COVID率は持続感染で高い
研究参加者全員に、自己申告によるlong COVID症状、すなわち初感染後3ヵ月間持続した症状について質問した。持続感染群では、回答者の9%(356人中32人)が感染開始から12週間以上経過した初診時に長いCOVIDを自己申告し、5.8%(326人中19人)が26週間以上経過した時点でlong COVIDを自己申告したと著者らは述べている。
非持続性感染者では、初診時12週以降にlong COVIDを報告したのはわずか5.4%(78,902人中4,291人)、26週以降にlong COVIDを報告したのは4.1%(72,608人中3,000人)であった。
ウイルスの持続感染とlong COVIDの関連は因果関係ではないかもしれないが、これらの結果は、持続感染がlong COVIDの病態生理に寄与している可能性を示唆している。
「ウイルスの持続性とlong COVIDの関連は因果関係ではないかもしれませんが、これらの結果は、持続的感染がLong COVIDの病態生理に寄与している可能性を示唆しています」と、共著者のKatrina Lythgoe, PhDはオックスフォード大学のプレスリリースで述べている。「実際、炎症、臓器障害、微小血栓症など、long COVIDの発症メカニズムには他にも多くの可能性が示唆されています」。
- Ghafari, M., Hall, M., Golubchik, T., Ayoubkhani, D., House, T., MacIntyre-Cockett, G., Fryer, H. R., Thomson, L., Nurtay, A., Kemp, S. A., Ferretti, L., Buck, D., Green, A., Trebes, A., Piazza, P., Lonie, L. J., Studley, R., Rourke, E., Smith, D. L., … Lythgoe, K. (2024). Prevalence of persistent SARS-CoV-2 in a large community surveillance study. Nature, 626(8001), 1094–1101. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07029-4