ドイツの科学者たちは、ウイルスが体内に侵入する最初の足がかりとなる鼻や喉でのコビッド19感染を阻止する鼻腔ワクチンを作ることに成功したと発表した。
ハムスターを使った実験では、コロナ後遺症の原因となるコロナウイルスを生きたまま弱毒化したワクチンを2回接種したところ、動物の上気道でウイルスが自己複製するのを阻止し、「滅菌免疫」を獲得してパンデミックの長年の目標である病気を予防することができた。
Nature Microbiology誌に掲載されたハムスターの研究では、mRNAベースのワクチンやアデノウイルスを用いて細胞内にワクチンの指示を伝達するワクチンの2回投与よりも、生きたまま弱毒化した鼻腔ワクチンを2回投与した方がはるかに強い免疫反応を引き起こした。
世界保健機関(WHO)のワクチントラッカーによると、Covid-19の経鼻ワクチンは、少なくとも4種類が人での後期試験に到達している。
中国とインドで使用されている経鼻ワクチンは、無害なアデノウイルスを用いて細胞内に命令を伝達するものだが、これらの有効性に関するデータは公表されていない。
他にも2つの経鼻ワクチンがヒトでの研究を終えている。
一つは、多くのインフルエンザ・ワクチンと同じように鶏卵で安価に製造できる組み換えワクチンで、ニューヨーク市のマウント・サイナイの研究者が実用化に向けて研究を進めている。
もう一つは、ドイツのワクチンと同じように、生きたまま弱毒化したウイルスを使用するものである。これはコダジェニックスという会社が開発したものだ。南米とアフリカで行われたこれらの研究の結果は、今年の後半に出るかもしれない。
ドイツの研究チームは、コダジェニックス社のデータを待ち望んでいるという。
「この種の試みが基本的に有望かどうかを知るためには、このデータは非常に重要です」とワイラー氏は言う。
心配する理由はある。呼吸器感染症は、吸入ワクチンのターゲットとしては難しいことが証明されている。
インフルエンザ・ウイルスを生きたまま弱毒化したFluMistは、子供にはそれなりに効くが、大人にはあまり効かない。その理由は、大人にはすでにインフルエンザに対する免疫記憶があり、ウイルスを鼻に注入すると、ワクチンはすでにある免疫記憶をほとんど増強してしまうからと考えられている。