パキロビッドはLongCovid全体を減少させないが、認知症状と疲労に効果があった

Preiss, A., Bhatia, A., Aragon, L. V., Baratta, J. M., Baskaran, M., Blancero, F., Brannock, M. D., Chew, R. F., Díaz, I., Fitzgerald, M., Kelly, E. P., Zhou, A., Carton, T. W., Chute, C. G., Haendel, M., Moffitt, R., Pfaff, E., & the N3C Consortium and the RECOVER EHR Cohort. (2024). Effect of Paxlovid Treatment During Acute COVID-19 on Long COVID Onset: An EHR-Based Target Trial Emulation from the N3C and RECOVER Consortia. https://doi.org/10.1101/2024.01.20.24301525

SARS-CoV-2感染の急性期後遺症(PASC)、通称Long COVIDの予防と治療は、公衆衛生上の優先事項となっている。本研究では、COVID-19の急性期にパキロビッドによる治療がPASCの発症予防に役立つかを検討した。National Covid Cohort Collaborative(N3C)の電子カルテを用い、2022年4月1日以降にCOVID-19に罹患し、重症COVID-19への進行リスクによりパキロビッド治療の対象となった患者426,352人のコホートを定義した。ターゲットトライアルエミュレーション(TTE)の枠組みを用いて、パキロビッド治療がPASC発症率に及ぼす影響を推定した。計算可能な表現型を使用して、PASCの全発生率を推定した。また、急性期後の新規認知症状、疲労症状、呼吸器症状の発現を測定した。パキロビッド投与はPASCの全発生率に有意な影響を及ぼさなかった(相対リスク[RR]=0.98、95%信頼区間[CI]0.95-1.01)。しかし、認知症状(RR = 0.90、95% CI 0.84-0.96)および疲労(RR = 0.95、95% CI 0.91-0.98)の症状群に対しては予防効果を示した。このことは、これらの症状の病因が呼吸器症状よりもウイルス量と密接に関連している可能性を示唆している。