アメリカ合衆国における多量飲酒による死亡の急増、コロナも関連か

要点

  • アメリカ合衆国における多量飲酒による死亡数は、2016年から2021年の間に約29%増加した。これは年間平均で4万人強の増加である。
  • 死亡率も同様に上昇し、2016-2017年の10万人あたり38.1人から、2020-2021年には47.6人になった。
  • 男性と女性の両方で死亡数が増加したが、女性のほうが伸び率が高く (約35%増)、男性は27%増であった。
  • このような急増は、COVID-19パンデミックの影響やアルコールの販売規制緩和などが要因と考えられる。
  • 今後、アルコール関連死を減らすためには、アルコールの販売制限や課税強化などの対策が必要である。

報告の詳細

  • 多量飲酒による死亡には、完全にアルコールが原因となっているものと、怪我や特定のがん種など、部分的にアルコールが影響しているものが含まれる。
  • この報告では、58種類のアルコール関連死について、死亡数を推定している。
  • 2016-2021年の間、慢性疾患による死亡数が全体の約3分の2を占めた。
  • また、2020-2021年には、完全にアルコールが原因の死亡数が46%増となり、多量飲酒による死亡の深刻さを示している。
  • アルコールの販売規制緩和や、COVID-19によるストレスや社会的孤立などの影響が、2020-2021年の急増の要因と考えられる。

公衆衛生への示唆

  • アルコールの販売制限や課税強化などの政策を導入することにより、多量飲酒を抑制できる。
  • また、医療機関やメディアを通した啓発活動も重要である。
  • これらの対策により、飲酒者本人の健康被害だけでなく、飲酒に関連した周囲への被害も減らすことができる。