ワクチン接種とオミクロン株の出現により、院内感染による死亡リスクは低下

  • Dave, N., Sjöholm, D., Hedberg, P., Ternhag, A., Granath, F., Verberk, J. D. M., Johansson, A. F., Van Der Werff, S. D., & Nauclér, P. (2023). Nosocomial SARS-CoV-2 Infections and Mortality During Unique COVID-19 Epidemic Waves. JAMA Network Open, 6(11), e2341936. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2023.41936

目的: 2020年3月1日から2022年9月15日までの期間、スウェーデンのストックホルム地域に入院した患者における院内SARS-CoV-2感染の発生率と30日死亡率との関連を調査すること。

方法: 症例対照研究を実施し、院内SARS-CoV-2感染患者を無感染患者と年齢、性別、基礎疾患、入院時期、入院診療科、ワクチン接種状況などでマッチングさせた。

結果:

  • 院内SARS-CoV-2感染患者は、無感染患者と比較して30日死亡率が有意に高かった。このリスクは特にパンデミック初期に高かった。
  • 時間の経過とともに、院内感染による死亡リスクは低下した。これは、ワクチン接種率の向上と、一般的に重症度が低いオミクロン株の蔓延と一致していた。
  • ワクチン接種2回以上は、院内感染患者の30日死亡率を40%低減する効果があった。
  • 院内感染対策の重要性が強調された。

結論:

  • 院内SARS-CoV-2感染は、患者の死亡リスクを増加させる重要な要因であった。
  • ワクチン接種とオミクロン株の出現により、院内感染による死亡リスクは低下した。
  • 院内感染を防ぎ、脆弱な患者集団を保護するための継続的な取り組みが重要である。

研究の強み:

  • 地域内の全ての病院からの包括的なデータを使用
  • 強力なマッチング方法を用いて群比較
  • 死亡率に影響を与える可能性のある様々な要因を調整

研究の限界:

  • 測定されていない交絡因子の可能性
  • 時間経過に伴う死亡率減少の原因(ワクチン接種 vs. 変異株)の特定の困難

参考文献: