Long COVIDは、女性や高齢者、低学歴者、農村部居住者の方が発症リスクが高い一方で、ワクチン接種完了によりリスクが低下する

  • Perlis, R. H., Santillana, M., Ognyanova, K., Safarpour, A., Lunz Trujillo, K., Simonson, M. D., Green, J., Quintana, A., Druckman, J., Baum, M. A., & Lazer, D. (2022). Prevalence and Correlates of Long COVID Symptoms Among US Adults. JAMA Network Open, 5(10), e2238804. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2022.38804

研究の目的

本研究は、米国成人の間でCOVID-19感染後2ヶ月以上にわたり症状が持続する「Long COVID」の有病率を推定し、Long COVIDの発症リスクと関連する社会人口学的要因を明らかにすることを目的とした。また、感染時の主要な変異株とワクチン接種歴がLong COVIDリスクに与える影響についても検討した。

研究方法

2021年2月5日から2022年7月6日までの期間に、米国全50州とコロンビア特別区を対象とした非確率インターネット調査(COVID States Project)の8波のデータを用いた。調査対象者は18歳以上の米国成人であり、年齢、性別、人種・民族、教育レベル、居住地、および地域を代表するように割り当てられた。調査では、COVID-19検査結果、症状の有無、症状の持続期間、ワクチン接種歴などの情報が収集された。

研究結果

調査対象者16,091人のうち、10,075人 (62.6%) が女性、6,016人 (37.4%) が男性であった。自己報告によるCOVID-19検査陽性者16,091人のうち、2,359人 (14.7%) が2ヶ月以上症状が持続していた。人口加重推定値によると、これはCOVID-19検査陽性者の13.9%、または米国成人の1.7%に相当する。

Long COVIDの発症リスクは、年齢が10歳ごとに1.15倍、女性であること1.91倍高かった。一方、大学卒業以上の学歴を持つ人は0.67倍、都市部居住者は0.74倍低かった。

感染時の主要な変異株がEpsilon株またはOmicron株であった場合、Long COVIDの発症リスクはそれぞれ0.81倍、0.77倍低かった。

ワクチン接種完了は、Long COVIDの発症リスクを0.72倍低減した。一方、部分的なワクチン接種は、リスクの有意な低減と関連しなかった。

考察

本研究は、米国成人の間でLong COVIDが広く存在することを示した。Long COVIDの発症リスクは、年齢、性別、教育レベル、居住地、感染時の主要な変異株、ワクチン接種歴などの要因によって影響を受ける。

結論

本研究は、Long COVIDが米国成人の間で一般的であり、女性や高齢者、低学歴者、農村部居住者の方が発症リスクが高い一方で、ワクチン接種完了によりリスクが低下する可能性があることを明らかにした。