アメリカでは、非薬物介入とワクチン接種を併用することで推定約 215万件の COVID-19 関連死を防ぎ、完全な介入によりさらに 70万件以上の死者数を回避できた

  • Morris, R. (2024). Estimating The Impact of Public Health Interventions on COVID Mortality in The United States Using Reductions in Influenza Mortality as an Indicator Of Non-Pharmaceutical Infection Control. https://doi.org/10.1101/2024.03.06.24303834

公衆衛生介入がアメリカ合衆国のCOVID-19死亡率に与えた影響の推定 – インフルエンザ死亡率減少を非薬物感染制御の指標として用いて

非薬物介入 (NPI) とは、マスク着用から学校や企業の閉鎖に至るまで、幅広い感染制御手法のことを指す。個々の介入戦略の効果は、他の併用されている NPI や遵守状況に左右される。通常、公衆衛生介入の効果を調べる際は過去のデータと比較するが、COVID-19 は新興感染症であるためそのようなデータがない。しかし、類似した経路で感染する疾患であるインフルエンザについては、過去のデータが豊富にある。COVID-19 パンデミック中にインフルエンザの罹患率と死亡率が大幅に減少したのは、ほぼ確実に NPI によるものと考えられる。この減少率は、COVID-19 の NPI がどれほど効果的に呼吸器感染の伝播を抑制したかの間接的な尺度になる。

本研究では、パンデミック期間中のインフルエンザ死亡率減少率 (IMR) と、アメリカ合衆国の各州における年齢調整済み COVID-19 死亡率との関連性を評価した。NPI 導入以前の死亡率、ワクチン接種率、そして NPI の効果に影響する人口密度を調整に入れて分析を行った。

解析の結果、介入前からの COVID-19 死亡率、IMR、ワクチン接種率、人口密度を組み込んだ単純な線形モデルは、各州間の年齢調整済み COVID-19 死亡率のばらつきの70% を説明した。このモデルによると、NPI はパンデミック期間中、アメリカ合衆国で 83万1,000件の COVID-19 関連死を防いだことを示唆している。

以上の結果は、IMR が COVID-19 を含む呼吸器感染症の伝播抑制における NPI の効果を正確に示す指標となり得ることを強く裏付ける。今回の分析は、NPI とワクチン接種を併用することで推定約 215万件の COVID-19 関連死を防ぎ、完全な介入によりさらに 70万件以上の死者数を回避できた可能性を示唆している。