イギリスにおけるイベント開催とCOVID-19感染リスク、平均に比べ屋内着席イベントで 1.16、屋外着席イベントで 1.12、屋外で一部着席のイベントで 0.65、屋外で着席せず複数日にわたるイベントで 1.70 (1.52-1.89)

  • Smith, L. E., Potts, H. W., Amlôt, R., Fear, N. T., Michie, S., & Rubin, G. J. (2022). Who is engaging with lateral flow testing for COVID-19 in the UK? The COVID-19 Rapid Survey of Adherence to Interventions and Responses (CORSAIR) study. BMJ Open, 12(2), e058060. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2021-058060

イギリスにおけるイベント開催と新型コロナウイルス感染リスク – スポーツ・文化イベント参加との関連を測定する自己管理症例系列研究

背景

2021年、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) パンデミック下での大きな社会的制限が緩和されつつあった中、イギリス政府は「イベントリサーチプログラム」を実施した。このプログラムは、文化イベントへの参加による COVID-19 感染リスクを調査し、感染リスクを最小限に抑えながら人々が幅広いイベントに参加できるようにする方法を模索することを目的としたものである。我々は、収容人数に近い人数で開催されたイベントへの参加が COVID-19 感染リスクに与える影響を、日常的に収集されるデータを用いて測定することを目指した。

方法

調査対象は、一定の感染防止対策 (ワクチン接種証明または陰性の迅速抗原検査) が講じられた「イベントリサーチプログラム」フェーズ3の参加者データである。参加者データは、イギリスの検査・追跡システムから得られた COVID-19 検査結果データとリンクさせた。自己管理症例系列研究デザインを用いて、イベント参加後 3日目から 9日目までの陽性検査率 (高リスク期間) と、イベント参加 1日目・2日目、10日目から16日目までの陽性検査率 (基準期間) を比較し、個人内での陽性検査発生率比を測定した。発生率比は、地域ごとの COVID-19 流行状況を考慮して基礎的な感染リスクの変動を補正し、イベントは概ね類似したタイプごとにグループ分けした。

結果

分析対象となった 18万8,851人の参加者データから、観察期間中に 3,357人が COVID-19 陽性と判定された。期間中の全体の検査傾向を考慮した後、陽性検査の発生率比と 95% 信頼区間は、屋内着席イベントで 1.16 (0.53-2.57)、主に屋外着席イベントで 1.12 (0.95-1.30)、主に屋外で一部着席のイベントで 0.65 (0.51-0.83)、そして主に屋外で着席せず複数日にわたるイベントで 1.70 (1.52-1.89) であった。

結論

イギリスのイベントリサーチプログラム第3フェーズで調査されたイベントタイプのうち、大部分については、イベント参加に関連した COVID-19 感染リスクの上昇の証拠は認められなかった。ただし、主に屋外で着席せず複数日にわたるイベントへの参加に関しては、感染リスクが 70% 上昇することが示唆された。また、自己管理症例系列手法を、イベント参加に関連した感染リスクのモニタリングに新規に用いることの可能性も示された。