Long COVIDという概念はあまりにも広い

  • Høeg, T. B., Ladhani, S., & Prasad, V. (2023). How methodological pitfalls have created widespread misunderstanding about long COVID. BMJ Evidence-Based Medicine, bmjebm-2023-112338. https://doi.org/10.1136/bmjebm-2023-112338

Long COVIDに関する既存の疫学研究は、症例定義があまりにも広範で、対照群が著しく欠落していることが問題となっており、リスクの歪曲をもたらしている。

この問題の意図しない結果としては、社会不安の増大、医療費の支出、本来治療可能な他の疾患の誤診、真にCOVID-19後遺症に苦しむ人々への資金や注意の散漫などが挙げられる。

今後研究を進めるにあたっては、適切に対照群をマッチさせ、十分な追跡期間を設け、国際的に確立された診断基準や包含・除外基準を用いる必要がある。

適切なPASC(COVID-19後遺症候群)の定義と対照群を用いた研究では、4週間後の子供や12週間後の50歳未満の成人において持続的な症状の有病率は、対照群と比較してほとんど差がないか、全く差がないことがわかった。質の高い研究結果は、メディアで報じられる多くのものとは対照的な結果を出している点が注目に値する。このような質の高い研究は、PASCのリスクについて市民を安心させるために用いるべきである。

しかし、大規模な集団ベースの研究であっても、現在ではCOVID-19感染に伴う、まれではあるが debilitating(衰弱させる)ような後感染症状を除外したり、その頻度を推定することはできない。ある症状や症候群を真にCOVID-後遺症と定義するためには、COVID-19感染に特異的なもの(嗅覚障害など)か、少なくともその特徴的なものでなければならない。将来的には、包括的な「Long COVID」という用語ではなく、COVID-19感染後に生じる特定の後遺症(例:COVID-19後嗅覚障害)に対して、それぞれ異なる名称を使用する方が望ましいかもしれない。また、他の呼吸器ウイルス、特にインフルエンザに伴う、よく知られた後感染症候群(例:重症肺炎後の息切れ、集中治療室入院後の衰弱と倦怠感)の有病率を比較する研究も必要である。

要約すると、大人と子供を対象としたLong COVIDに関する質の高い集団ベースの研究結果は、安心できるものであった。しかし、既存の文献は全体として、臨床医や研究者が認識すべき重大なバイアスを持つ研究が多数含まれている。