長期COVIDを抱える世界の人口は6,500万人を超え、増加傾向にある

新型コロナウイルス後遺症(Long COVID)を抱える世界の人口は、最新の推定値で6,500万人を超えており、明確な診断や治療法がないため、この数は着実に増加している。Long COVID に関連して報告されている症状は200種類以上あり、事実上すべての臓器系に影響を及ぼす。

一部の患者は回復するものの、2020年初めから症状を抱えている人も多くいる。Long COVID は、病態生理学的プロセスが異質なもの表す包括的な診断名である。そのため、急性感染の重症度、年齢、性別、既存の併存疾患、遺伝、社会経済的要因、その他の環境要因など、いくつかの要素が Long COVID の症状の現れ方に影響を与える可能性がある。重度の急性 SARS-CoV-2 感染から生還した Long Haulers(後遺症患者)は、50歳以上の男性で、残存する組織損傷と瘢痕形成がみられることが多い。軽度の感染後に Long COVID を発症した人は、36~50歳の若い女性が多く、急性感染が生理学的異常反応を引き起こした可能性がある。

Long COVID の根本原因に関する主な疾患仮説としては、ウイルス持続性(感染性ウイルス、ウイルスRNA、またはウイルス蛋白質)、感染によって引き起こされる自己免疫、潜伏性ウイルスの再活性化、炎症が引き金となって組織機能障害や損傷に至る慢性的な変化 (図を参照) が挙げられる。