COVID-19パンデミック中の受診控えによってがん死亡者が増加

  • Turtle, L., Elliot, S., Drake, T. M., Thorpe, M., Khoury, E. G., Greenhalf, W., Hardwick, H. E., Leeming, G., Law, A., Oosthuyzen, W., Pius, R., Shaw, C. A., Baillie, J. K., Openshaw, P. J. M., Docherty, A. B., Semple, M. G., Harrison, E. M., & Palmieri, C. (2024). Changes in hospital mortality in patients with cancer during the COVID-19 pandemic (ISARIC-CCP-UK): A prospective, multicentre cohort study. The Lancet Oncology, S1470204524001074. https://doi.org/10.1016/S1470-2045(24)00107-4

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中におけるがん患者の病院内死亡率の変化に関する前向き多施設コホート研究は、2020年4月23日から2022年2月28日までの間、英国内の306の医療施設で行われた。この研究は、SARS-CoV-2に感染確認された19歳以上の患者を対象とし、がん治療を受けている患者とがんの既往歴のない患者の30日間の病院内死亡率を比較した。

研究結果によると、がん治療を受けている患者は、がんのない患者と比較してCOVID-19からの死亡リスクが高かった。特に50歳未満でがん治療を受けている患者は、同年代のがんのない患者に比べて死亡リスクが最も高かった。がん治療を受けている患者の中では、80歳以上の患者が最も死亡率が高かったが、50歳未満では相対的リスクが顕著に高かった。

この研究から、新型コロナウイルス流行による受診控えががん患者に与えた影響が明らかになった。流行中、がん治療を受けている患者の病院への受診は減少し、特に診断が遅れたり、必要な治療が受けられないことが死亡リスクを増大させた。また、がん患者はCOVID-19の重症化リスクが高く、感染拡大を防ぐためにも早期のワクチン接種や感染予防策の徹底が求められる。

この研究は、がん患者のCOVID-19に対するリスク管理と未来のパンデミック対策において重要な示唆を与えており、がん治療を受けている患者の特定のリスクを考慮した上で、適切な予防策や治療アクセスの確保が必要であることを強調している。