パキロビッドの投与は、症状発現から5日以上経過したCOVID-19入院患者の挿管や死亡のリスクを低下させる

  • Luo, W., Li, K.-Y., Dai, C., Zhu, W., Lin, J., Lu, F., Chen, Q., Wang, W., Zhuang, Q., & Lin, Y. (2024). Real-world application of nirmatrelvir/ritonavir in hospitalized COVID-19 patients with onset of symptoms beyond 5 days: A comparative study. Infection. https://doi.org/10.1007/s15010-024-02255-4

医師の中には、症状発現から5日以上経過した患者にもパキロビッドを投与することがあるが、現時点ではこのアプローチを支持する確たるエビデンスがない。

本研究は、症状発現から5日以上経過したCOVID-19患者を対象に、パキロビッド投与の有無と挿管や入院死亡率の関係を調べるリアルワールド解析を行った。主要評価項目は挿管または入院死亡の複合イベントとし、投与群と非投与群で転帰を比較した。

解析対象は合計847人で、うち312人 (36.84%) がパキロビッドを投与された。全体の86人 (10.15%) が挿管または入院死亡を経験した。逆確率重み付け法を用いた主要解析では、パキロビッド投与群は非投与群と比較し、挿管または入院死亡のリスクが有意に低下しており、オッズ比は0.50 (95%信頼区間0.28-0.87; p=0.0153) であった。この結果は複数の感度分析でも一貫していた。

以上の結果から、症状発現から5日以上経過したCOVID-19入院患者において、パキロビッドの投与は、挿管や死亡のリスクを有意に低下させる可能性があることが示唆された。